1.はじめに
髪のハリやツヤが変わってきた。眠りが浅く、 なんとなく気分もすっきりしない。 こうした変化を、“年齢のせい”と感じている方も 多いのではないでしょうか。
しかし、肌・髪・睡眠・メンタルといった 一見異なる悩みの背景には、加齢だけではなく、 日々の生活習慣や栄養状態など、 さまざまな要因が関係しています。
中でもビタミンB群は、エネルギー代謝をはじめ、 皮膚や粘膜の健康維持、赤血球の形成、 神経機能など、身体のさまざまな働きに関わる 重要な栄養素です。
第1回では、“エネルギー代謝”とビタミンB群の 関係について取り上げました。 第2回となる今回は、肌・髪・睡眠・メンタルまで、 私たちの“見た目”と“コンディション”を支える ビタミンB群の役割に注目します。
2. “若々しさ”を支えるビタミンB群の力
「最近、肌の調子が不安定」
「髪のハリやツヤが変わってきた」
「疲れやすく、気分がスッキリしない」
「眠りが浅い」
こうした変化には年齢だけでなく、 生活習慣や睡眠、ストレス、そして “栄養状態”が関係している場合も少なくありません。
特にビタミンB群は、“美容のビタミン”であると同時に、 “神経のビタミン”とも呼ばれるほど、 身体全体のコンディションと深く関わっています。
3. 美容と健康に関わるビタミンB群
ビタミンB群は、それぞれ異なる役割を持ちながら、互いに関わり合って身体の代謝や機能を支えています。
例えば、ビタミンB2は、皮膚や粘膜の健康維持をサポートし、ターンオーバーや脂質代謝にも必要な栄養素です。ビタミンB6はタンパク質やアミノ酸の代謝に深く関与し、皮膚や粘膜の健康維持にも重要です。
また、ビタミンB12と葉酸は、正常な赤血球の形成に関わるほか、DNA合成や細胞分裂、神経系の正常な機能を支えるうえでも重要で、睡眠やメンタルコンディションにも影響を与える重要な栄養素です。
私は美容医療の現場で、「外側だけを整える美容には限界がある」と感じています。肌や毛髪をつくる細胞も、私たちが日々摂取する栄養素を利用しながら代謝を続けています。だからこそ、スキンケアなどの外側からのアプローチと同時に、食事や睡眠、運動を含めた“内側の環境”を整えることも、美容と健康を考えるうえで大切な視点です。
4. ビタミンCだけではない、インナーケアの考え方
― 抗酸化時代のインナーケア ―
「美容といえばビタミンC。」そうイメージされる方も多いでしょう。
確かにビタミンCは、紫外線ストレスや活性酸素から身体を守り、コラーゲン生成や透明感のある肌づくりにも欠かせない栄養素です。また、鉄の吸収を助けるなど、身体のさまざまな機能に関わっています。
ビタミンCが“抗酸化”を担うなら、ビタミンB群は“代謝”を担う存在。つまり、細胞を守るだけではなく、細胞がしっかり働ける状態をつくることが重要なのです。
美容と健康を栄養の面から考えると、特定の栄養素だけに注目するのではなく、身体の代謝を支える栄養素をバランスよく摂取することが重要です。
その代表がビタミンB群です。ビタミンB群の多くは、糖質・脂質・たんぱく質からエネルギーを産生する代謝過程に補酵素として関与しています。
私はこれを分かりやすく、「ビタミンCが身体を“守る”栄養素の一つだとすれば、ビタミンB群は身体の代謝を“動かす”ために欠かせない栄養素」と捉えています。
もちろん、どちらか一方を摂ればよいということではありません。細胞を酸化ストレスから守る仕組みと、細胞が正常に代謝を行う仕組み。その両方を意識しながら、必要な栄養素を食事からバランスよく摂取することが、健康と美容の基本です。
5. まとめ
現代人の食生活は、忙しさや食事の偏りなどによって、必要な栄養素を十分に摂取できないことがあります。さらに、紫外線、ストレス、睡眠不足、糖質過多などにより、ビタミンB群・Cの両方を大量に消耗しています。だからこそ、これからのインナーケアは「どちらか一方」ではなく、“ビタミンB群とCをどう組み合わせるか”が大切になります。
また、ビタミンB群やビタミンCはいずれも水溶性ビタミンであり、体内に大量に蓄えておくことが難しいため、日々の食生活の中で継続的に摂取することが大切です。
これからのエイジングケアでは、“年齢に抗う”ことだけを目標にするのではなく、年齢を重ねても細胞や身体が本来の機能を発揮できる環境を整えていくことが重要だと私は考えています。
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日比野 佐和子(ひびの さわこ)医師
医師・医学博士。
医療法人康梓会 SAWAKO CLINIC × YS 統括院長。
大阪大学大学院 医学系研究科 未来医療学寄附講座 特任准教授。
再生医療、予防医療、エイジングケア医療を専門とし、細胞医療や栄養医学を取り入れた次世代型医療を実践。美容・健康・長寿医療を横断する立場から、多数の講演・メディア出演・医学監修を行う。
